株式会社リクルートホールディングスの決算分析(2016年3月期第3四半期)

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株式会社リクルートホールディングスの2016年3月期第3四半期決算が、2016年2月10日に発表されました。売上高は、前年同期比21.8%増の1兆1,394億円にも上りました。

しかし、営業利益は7.3%減、経常利益は5.3%減、四半期純利益も1.8%減少しています。利益減少の主な要因は、減価償却費やのれん償却額が増加したことにあります。

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リクルートは2010年から積極的な海外M&Aを行い、2016年3月期に入ってからは、1社除外したものの新たに9社の子会社を連結の範囲に加えているため、経営成績を判断する際には、これらを考慮する必要があります。

そこで、営業利益にノン・キャッシュ費用である減価償却費とのれん償却額を加えたEBITDAと、四半期純利益にのれん償却額を加えた金額を見てみましょう。

EBITDAとは、国際的な企業比較が可能な指標で、リクルートが経営指標として採用している指標でもあります。 下記に示すように、EBITDAは前年同期比5.4%増の1,466億、のれん償却前四半期純利益は前年同期比8.7%増の831億円で、好調な業績を上げていることがわかります。

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期間比較のため、2016年3月期から新規連結した子会社の業績を控除した売上とEBITDAも見てみましょう。 下記に示すように、売上高は、前年同期比9.8%増の1兆269億円であり、EBITDAは前年同期比5.9%増の1,474億円となっています。

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このように、リクルートが順調に巨大規模な成長を続ける要因は、どこにあるのでしょうか。決算短信、決算説明資料等をもとに分析していきます。

セグメント情報

リクルートの主要事業セグメントとしては、販売促進メディア事業、人材メディア事業、人材派遣事業がありますが、人材領域に関して事業別に業績を分析していきます。

人材メディア事業の業績

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人材メディア事業の売上は、国内外ともに順調に伸び続け、前年同期比19.1%増の2,464億円となりました。EBITDAも海外を中心に売上が増加し、前年同期比16.9%増の590億円となりました。 領域別に見てみましょう。

◆国内人材募集領域
有効求人倍率の高位安定、求人広告件数の増加という好調な市場背景を受け、売上は前年同期比6.7%増の1,735億円と、順調に伸びています。

◆国外人材募集領域(Indeed)
中小クライアントサービス利用が相変わらず順調であり、2015年1~9月の平均月間ユニークビジター数は前年同期比44.4%増加の1億7200万人にも拡大した上、為替変動が追い風となり、売上は前年同期比82.9%増の587億円と大幅に増加しました。

人材派遣事業の業績

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国内派遣領域の好調な推移・海外派遣領域での円安影響・海外子会社の新規業績寄与により、売上は前年同期比30.6%増の6494億円と大きく伸びています。
また、売上の増加及び特に海外の経営効率化の進展等に伴い、EBITDAは前年同期比18.9%増の363億円となりました。 領域別に見てみましょう。

◆国内派遣領域
人事派遣市場は、派遣社員実稼働者数が9四半期連続で前年同期実績を上回っています。また、リクルートでは営業体制の強化、既存派遣契約の継続や新規派遣契約数の増加に尽力し、その結果、売上は前年同期比5.5%増の3,046億円となりました。

◆海外派遣領域
北米・欧州・豪州のGDPの穏やかな拡大傾向、円安の影響等を受け、売上は同年前期比65.6%増の3,447億円に達しました。

リクルートのマイルストーン

2010年に創業50年を迎えたリクルートは、今後のマイルストーンとして、2020年頃をめどに人材領域において雇用者総数でグローバルNo.1になることを、また2030年頃をめどに、販促領域を含めてクライアントとユーザーを結びつけるマッチングプラットフォーム企業グループとして、サービス利用者数でグローバルNo.1になることを、中長期的大望として掲げています。

そのための行動として、海外M&Aに関しては、2015~2017年で約7,000億円の予算を投じる戦略が発表されています。当期に入ってからは、下記に示す会社を含め全9社の買収がすでに行われ、買収金額は表中の会社だけで900億円を超えています。

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更に今年の4~8月にかけて、オランダを中心に欧州で人材派遣事業を営むUSG People N.V.を株式取得により買収することが、2015年12月22日の取締役会にて決定しました。買収総額は約1,885億円の予定です。

2015年11月10日に行われた2016年3月期第2四半期決算説明会において、 「更に将来に向けた投資」について「追加的に強化していく」との言及がありましたが、着実に実行されています。 リクルートの拡大はどこまで続くのか、今後の動向に目が離せません。

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