厚労省が就職氷河期世代を対象とした就労・自立支援を50歳まで拡大

厚生労働省は、無業状態にある人に対し就職支援を行う「地域若者サポートステーション(サポステ)」の対象年齢を「40歳未満」に加え、「50歳まで」に拡大する方針を固めました。就職氷河期世代への支援策として行うもので、自立を困難にしている人の無業状態解消を目指しています。

就職氷河期世代とは

就職氷河期世代とは、バブルの崩壊後、社会的に就職難となった1990年代半ばから2000年前半に社会人になった人たちのことを指します。年齢にすると、2019年現在、40歳前後の世代が該当し、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った背景から、現在も無業状態にある人が多いという現状があります。

また、2020年以降、大学卒業に至る22歳の人口が下がっていくというデータがあり、企業の人手不足も増していくと考えられています。この「新卒採用の2021年問題」から見ても、就職氷河期世代を就労に繋げることが重要なテーマとなるでしょう。

「サポステ」から「サポステ・プラス」へ

現状の「サポステ」は、厚労省が委託したNPO団体などが運営しており、全国177ヵ所に設置されています。おおむね40歳未満の無業者を対象に、就職の前段階である「就労相談」や「面接指導」などを行ない、自立に向けた総合的な支援を行う窓口となっています。

従来、就労や自立支援の対象者は「若者に多い」と考えられてきたましたが、氷河期世代問題が表面化したことで、今回の年齢引き上げが行われたと考えられます。

2020年度からは「サポステ・プラス」として、おおむね50歳までの無業者に対して行う相談事業を、全サポステにおいて展開する予定。厚生労働省は、2020年度予算概算要求に関連事業費を計上する方針です。

就職氷河期世代をターゲットとした「サポステ・プラス」今後の展開は

今後展開される「サポステ・プラス」のうち、住まいなどの相談にも応じる、生活困窮者自立支援窓口と一体化した「ワンストップ型支援」のサポステを、来年度末までに全国12ヵ所に設置する予定です。

また、サポステのスタッフが、自治体の福祉事務所やひきこもり支援センターなどの協力を得て、支援対象者を訪問する「アウトリーチ型支援」も実施する方針で、後に全都道府県をカバーする意向を示しています。

政府挙げての雇用政策により、今後、就職氷河期世代をターゲットとした人材ビジネスに新たな動きがあると期待されます。

参考URL

就労・自立支援、50歳まで拡大=氷河期世代に対応-厚労省
就職氷河期や就職氷河期世代支援プログラムについて

(HRog編集部)