【エンジニア求人特集 #4】JavaScript3大フレームワークの求人動向分析!

 

今年のエンジニア求人市場を徹底分析!エンジニア求人特集

毎年ご好評いただいているHRogの「プログラミング言語別給与ランキング」。2018年にして5回目を迎える今回は、「エンジニア求人特集」と題して、恒例の給与ランキングに加えて様々な軸から2018年ITエンジニア採用の求人動向をより深く分析していきたいと思います!

人材不足のニュースがメディアを大きく賑わせた2018年、エンジニア求人も大きな伸びを示しました。エンジニア採用の難しさにさらなる拍車がかかる中、エンジニア採用の求人トレンドはどのように変化しているのでしょうか?

人材業界・エンジニアの採用に携わる方は必見の特集です!

「エンジニア求人特集」第4回は、JavaScript3大フレームワークの求人動向分析をお届けします。

多くの職種の中でも求人動向が特に上昇基調にあるITエンジニア。そのなかでも最も変化の激しい領域の一つであるWebフロントエンドの「JavaScriptフレームワーク」の求人動向を分析することで、エンジニア求人市場で起きている動きをよりリアルに感じることができるでしょう。

普段JavaScript やWebフレームワークなどのプログラミングの世界に馴染みのない向けの解説も、あわせてお届けします。

そもそもフレームワークとは何か?

さて、そもそも今回のテーマである「フレームワーク」とはいったい何でしょうか?

(システム開発における)フレームワークとは、システム開発の際に必要となる共通的な機能や便利な仕組みをセットにしたものです。

例えばWebフロントエンド(ブラウザ上で動作するwebデザインやプログラム)であれば、サーバーとの通信や、ユーザー操作に応じた画面の動き、ページの遷移、プログラムテストの実行など、どのWebシステムでも必要とされる共通的な機能や仕組みを、フレームワークは提供します。

フレームワークを利用することで、すでに誰かが開発したものを改めて開発せずとも、優れた機能や仕組みをすぐに利用して開発ができます。

一方、フレームワークごとにカバーしている機能や性能、プログラミング方法などはそれぞれ異なっており、フレームワークの性能や恩恵を十分引き出すには、それなりの学習や経験が必要となってきます。

Webフロントエンドの3大フレームワーク – Angular、React、Vue.js

Webフロントエンドの開発において、現在必須ともいえるプログラミング言語はJavaScriptです。

JavaScriptは、主にWebアプリケーションでのブラウザ(UI)上での動作を記述するプログラミング言語で、前記事でも、求人件数ランキング第3位、年間給与上昇率第4位など、求人需要が非常に高まっています。

JavaScript自体はとてもシンプルな言語なため、言語が持つ機能も多くなく、大規模な開発や高度な機能の開発では、それ単体では生産性を上げにくいなどの難点があります。また、Webフロントエンドの領域では、近年その技術トレンドや開発手法が急速に進化したため、開発に必要な知識や手順が非常に複雑化しています。

そのため、開発の生産性を上げるためのコンポーネント(部品)やフレームワークの利用が増えてきており、ここ数年では、Angular、React、Vue.jsの3つのフレームワークに人気が集約されてきました。

Angular(アンギュラー)

Angularとは、2009年からGoogleが主体となって提供しているフレームワークです。特に2016年にバージョン2がリリースされて以降、6ケ月に1度メジャーバージョンアップをするなど、急速に技術が進化しています。

「One framework」を標榜しており、他のフレームワークが「エコシステム」と呼ばれる周辺領域の技術(ライブラリ)を自由に組み合わせて開発するスタイルであるのと比べて、Angularでは、それ単体で開発に必要なものが一通り揃うように作られています。

その分、利用するにあたって必要な知識、スキルが多く、習熟に必要となる学習量が多い(学習コストが大きい)フレームワークです。Googleが主体となっているフレームワークだけあって、Google Analyticsを始めとした、Googleのサービスで広く利用されています。

また画面数や扱う項目数が多いなどの大規模なWebシステムの開発に向いており、業務系システムなどでの利用が広がっています。

React(リアクト)

Reactとは、Facebookが主体となって2011年頃より提供しているフレームワークです。

従来、ブラウザ画面の内容をプログラムから直接操作する実装はなにかと手間がかかっていたのですが、Reactでは「Virtual DOM」と呼ばれる技術の導入により、その開発生産性や性能を大きく向上させました。

また、React自体は画面表示系以外の余分な機能は持たず、他に必要な機能や仕組みは周辺のエコシステムから選択する仕様です。そのシンプルさ、自由度の高さが、人気の要素の1つとなっています。

FacebookのUIのほか、InstagramやTwitter、Netflixなど、有名なWebサービスで豊富な導入実績があります。

Vue.js(ビュー・ジェイエス)

Vue.jsは、特定の企業ではなく、Angular(現在のAngularの旧版であるAngular.js)の開発に携わっていたエンジニア、エヴァン・ヨー氏によって2014年に開発されたフレームワークです。

シンプルにプログラミングできるよう様々な工夫が取り入れられており、使い勝手と機能バランスの良さから人気を集めています。以前から特に中国圏のエンジニアからの人気が高かったのですが、近年では日本国内での人気も急速に高まっています。

規模を問わず採用実績も豊富で、「JavaScript ベスト・オブ・ザ・イヤー」に2016年、2017年と2年連続で選ばれています。

3大フレームワーク、いったいどれを利用すればよい?

それぞれの特徴を持つ3大フレームワークですが、現在その人気は拮抗しています。

移り変わりの激しいWeb界隈においては、人気があり、かつできる限り長く使える技術を選定することが、エンジニア確保のためにも、将来のシステムメンテナンスコストを抑えるためにも非常に重要です。

エンジニアにとっても、将来を見据えたスキルの価値を見極める上で、フレームワークの評価は気になるところでしょう。

今回、2018年の求人マーケットデータから、各フレームワークのスキルを求める求人案件の動向を詳しく分析してみました。

それでは見て行きましょう!

3大フレームワークを徹底分析!

3大フレームワークの1年間の年俸給与金額の推移

それでは各フレームワークの年俸給与額(下限値・上限値)の推移を見ていきましょう。

※本記事は「HRogリスト」のデータをもとに作成しています。

3つのフレームワークで、年俸給与下限金額が最も高かったのは、Angular(4,355,244円)、年俸給与上限金額が最も高かったのは、React(7,675,882円)となりました。

一方、年俸給与下限金額が1年間で最も増加したのは、Vue.jsとなりました。1年間で30万円以上の募集給与の増加は非常に高い数値と言えます。

Vue.jsは上限金額も6.1%増加しており、給与金額のレンジが1年間で一気に上がって、年初はTOPだったReactの給与レンジにかなり迫ってきた状況と言えるでしょう。

Angularは下限値の増加が著しく、こちらもほかの2つのフレームワークと同水準となりました。一方上限値は他のフレームワークより低くなっており、今後の推移が気になります。

Reactは、もともと給与金額が最も高水準であったものの、今年の伸びは最も控えめなものとなっており、他のフレームワークの伸びが著しいことからも、求人需要がやや落ち着いた印象です。

この1年で、3つのフレームワークの給与水準はより拮抗する状況となり、3つ巴の様相となってきました。

年俸下限(Angular) 年俸上限(Angular) 年俸下限(React) 年俸上限(React) 年俸下限(Vue.js) 年俸上限(Vue.js)
1月 4,102,617円 7,236,171円 4,203,101円 7,771,553円 4,033,518円 7,117,040円
2月 4,160,165円 7,182,006円 4,193,852円 7,709,373円 4,098,697円 6,918,567円
3月 4,179,075円 7,285,210円 4,182,982円 7,814,059円 4,113,553円 6,993,262円
4月 4,147,414円 7,283,367円 4,177,907円 7,795,911円 4,127,884円 7,203,079円
5月 4,153,827円 7,311,626円 4,198,809円 7,893,203円 4,167,489円 7,309,560円
6月 4,142,116円 7,253,135円 4,212,054円 7,841,078円 4,207,723円 7,583,192円
7月 4,186,745円 7,182,406円 4,273,124円 7,757,628円 4,244,085円 7,631,007円
8月 4,257,434円 7,298,079円 4,286,707円 7,805,132円 4,263,326円 7,610,040円
9月 4,245,453円 7,184,651円 4,292,667円 7,766,706円 4,286,231円 7,561,392円
10月 4,246,706円 7,243,313円 4,318,187円 7,821,564円 4,305,998円 7,707,570円
11月 4,279,182円 7,214,451円 4,314,872円 7,714,260円 4,310,681円 7,521,634円
12月 4,355,244円 7,310,600円 4,337,857円 7,675,882円 4,343,828円 7,553,181円
年間増加数 +252,627円 +74,429円 +134,756円 -95,671円 +310,310円 +436,141円
年間増加率 106.2% 101.0% 103.2% 98.8% 107.7% 106.1%

対象媒体:doda、Find Job、Green、type、エン転職、バイトルNEXT、マイナビ転職、マイナビ転職エージェントサーチ、リクナビNEXT、リクルートエージェント、転職ナビ(順不同)
調査日:2018年1月 ~ 2018年12月(各月の第一月曜日)
調査対象総件数:2,645,153件(2018年1月~12月の各月第一月曜日掲載の全職種求人データのべ件数)
調査方法:以下の3フレームワーク(Angular,React,Vue.js)を対象に、原稿の仕事内容、応募条件の項目内に各フレームワークの表記が含まれる求人データを集計、分析

1年間の求人件数の動向は?

※本記事は「HRogリスト」のデータをもとに作成しています。

どのクレームワークもこの1年で求人件数を大きく増やしています。

すべてのプログラミング言語の総計での求人件数増加率は18.2%だった(第二回記事参照)ことを考えると、他言語の水準と比較しても、大きな伸びを見せています。

以前から人気の高かったReactは、年初比161.9%と、2018年も非常に好調に推移しました。件数自体も795件と、他の2つのフレームワークと比較しても1.5倍以上の求人件数となっています。

Vue.jsは年初比267.3%と、件数の伸びが非常に大きく、12月においては532件で遂にAngularの求人件数527件を追い抜いています。

給与金額の伸びも含めて、2019年以降 Vue.js がどこまで伸びていくのか、その動向は非常に気になるところであると同時に、需要が高まるVue.jsエンジニアの確保は、今後大きな課題となっていく可能性がありそうです。

一方Angularは、通年では140.5%と大きく増加傾向ではあったものの、2018年終盤から伸び悩んでいる様子が窺えます。初期学習コストの高さや技術変化の速さから、Angularが企業の技術選定において敬遠されている状況も考えられます。開発実績が蓄積され、技術が成熟してくる2019年以降、Angularの採用動向がどのように変化していくかが注目されます。

Angular(件) React(件) Vue.js(件)
1月 375 491 199
2月 392 529 224
3月 406 538 218
4月 403 561 209
5月 456 611 244
6月 477 653 293
7月 474 679 311
8月 495 718 356
9月 523 741 405
10月 539 769 459
11月 527 764 496
12月 527 795 532
年間増加数 152 304 333
年間増加率 140.5% 161.9% 267.3%

対象媒体:doda、Find Job、Green、type、エン転職、バイトルNEXT、マイナビ転職、マイナビ転職エージェントサーチ、リクナビNEXT、リクルートエージェント、転職ナビ(順不同)
調査日:2018年1月 ~ 2018年12月(各月の第一月曜日)
調査対象総件数:2,645,153件(2018年1月~12月の各月第一月曜日掲載の全職種求人データのべ件数)
調査方法:以下の3フレームワーク(Angular,React,Vue.js)を対象に、原稿の仕事内容、応募条件の項目内に各フレームワークの表記が含まれる求人データを集計、分析

まとめ

「エンジニア求人特集」第4回のJavaScript3大フレームワークの求人動向分析、いかがだったでしょうか。

エンジニアでない方には、プログラミングのフレームワークなどはなかなか普段馴染みのない世界かとは思いますが、これらはGoogleやFacebook、Instagramなど、普段よく接するWebサービスの画面を通じて日常的に触れている技術です。求人動向においても三つ巴の戦いとなっている3大フレームワークの分析を通じて、IT技術の進化、激しい競争の一端を感じて頂けたのではないでしょうか。

今後もHRogでは、求人マーケットデータを通じて、求人動向の様々な角度からの分析や気づきをお届けしていけたらと思います。

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求人情報を元にしたHR業界のための企業リスト「HRogリスト
※本記事は「HRogリスト」のデータをもとに作成しています。

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(HRog編集部)