2019年11月に、惜しまれながら50年以上の歴史に幕を下ろすことになったアルバイト求人情報サイト「an」。アルバイト領域の老舗である同サイトの終了に驚いた人も多いのではないだろうか。今回の特集では「an」とその関係者にスポットを当て、激変するアルバイト求人市場の最前線を追う。
パーソルキャリア株式会社は8月1日、運営するアルバイト求人情報「an」のサービスを11月25日をもって終了することを発表しました。
1967年の「日刊アルバイトニュース」創刊以来、日本で最も歴史のあるアルバイト求人情報サービスとして続く50年以上の歴史に幕を下ろすこととなります。サービス終了の理由について同社は「WEB・スマホ時代を見据えたサービス移行に遅れを取り、競争力が低下したため」としています。
本記事ではパーソルホールディングス発表情報やanを含むアルバイト系求人メディアの広告掲載件数推移を読み解きながら、「an」サービス終了の背景を探ります。
アルバイト市場伸び悩み、シェア4.5%減
2013年3月期には昨対比+12.9%で成長していたanですが、当時WEB対応していたのは首都圏のみで、郊外では紙媒体を中心に展開していました。その後他社の求人メディアに追随する形で2015年にLINEアプリ上で求人検索・応募ができる「LINEバイト」を開始、2017年には紙媒体を撤退し完全WEB化を行いました。
しかし、結果として経営リソースの分散を招き、anの競争力・成長率は徐々に低下していきます。2018年3月期には昨対比-13.5%とマイナス域へ転落してしましました。
このような状況を踏まえ、同社はanブランド再構築という戦略のもと、TVCMの展開やシステム改修など様々な施策を打ち出し、2019年3月期には売上高成長率4%とプラス転換させることに成功しました。
しかし、人材不足やインターンシップの普及などを背景に2016年以降アルバイト・パート領域の市場環境は緩やかな縮小傾向にあります。2011年3月期ピークからシェアを4.5%落とすなど、anの市場シェアは伸び悩みが続いていました。
以下は過去1年間の各媒体別の出稿求人数推移を表したグラフです。2018年末から2019年初頭にかけてanの掲載数は伸びていますが、市場全体としては求人掲載件数は2019年4月時点で昨対比116.5%と大きな成長は見られません。また、anの掲載件数も2019年2月以降大きな伸びはなかったようです。
まとめ
同社が「an」サービス終了を決めた背景には、アルバイト・パート市場の停滞の中でシェアを獲得しきれなかったことが一因としてあるようです。今後、各媒体のシェア変化やanに出稿していた企業はどの媒体へ移り変わっていくのかなど、「an」サービス終了に伴うアルバイト求人市場の変化に注目したいと思います
【参考記事】
アルバイト求人情報「an」サービス終了に関するお知らせ
【参考資料】
アルバイト求人情報「an」サービス終了のお知らせ
2019年3月期 決算説明会
(HRog編集部)