【新卒MVP×リーダー対談】3年目エンジニアが挑んだ難関PJ 挑戦を支えたリーダーの影響力【株式会社ワンキャリア編 前編】

株式会社ワンキャリア
技術開発部 シニアエンジニアリングマネージャー
江副 廉人(画像左)
えぞえ・れんと/株式会社データX(旧: フロムスクラッチ)、ZETA株式会社にてソフトウェアエンジニアとして、SaaS開発や新規事業開発に従事。2021年より株式会社ワンキャリアにて、ソフトウェアエンジニア/エンジニアリングマネージャーとしてプロダクト開発、研究開発に従事。

株式会社ワンキャリア
技術開発部 エンジニアリングマネージャー / コンサルティングセールス事業部 カスタマーサクセス
中川 智貴 氏(画像右)
なかがわ・ともき/2020年よりインターンとしてワンキャリアに参画。2021年よりワンキャリアクラウド採用管理(ATS)の開発及びチームマネジメントに従事。2022年に新卒として同社に入社後、EMを務める。2024年にはtoCサービスの共通IDであるワンキャリアIDの導入を主導し、下期MVPを獲得。現在はtoBプロダクト開発チームを横断的にマネージメントしつつ、CSとしてプロダクトのオンボーディングも務める。

2024年下期MVP受賞までの軌跡

ワンキャリアでは年間2回、上期と下期にMVP授賞式が行われます。今回は、2024年下期の『制作・クリエイティブ部門』でMVPに選ばれた新卒入社3年目の中川智貴さんと、同じ技術開発部の先輩である江副廉人さんに話を伺いました。

2021年10月、株式会社ワンキャリアは東京証券取引所マザーズ市場(現グロース市場)へ上場。以降もその勢いはとどまることなく、新卒採用マーケットにおける存在感を着実に高めています。

そんな成長企業のエンジニアリング領域で、2024年下期のMVPを受賞したのは新卒3年目の中川智貴さん。技術開発部でマネジメントとカスタマーサクセスを担いながら、社内外から注目される大型プロジェクトをリードしています。

この受賞の背景には、入社初期から現場で力を発揮してきた中川さんの歩みと、長く伴走してきた江副廉人さんとの信頼関係がありました。

前編では、2人がどのようにキャリアを重ね互いにどのように影響し合いながらMVPという結果につながったのか、その軌跡に迫ります。

MVP受賞のきっかけは『ワンキャリアID』の開発

中川さん「僕のチームは、日頃から新しい開発や売り上げ向上、コスト削減などのプロジェクトに突発的に関わりながら、1つのプロダクトに縛られずに業務に関わっています。今回MVP受賞のきっかけとなった『ワンキャリアID』の開発は、遊撃的な動きからこのプロジェクトに最適なチームとして任せていただきました。結果として、このチームで担当した『ワンキャリアID』プロジェクトで、MVPを受賞することができました」

ワンキャリアIDとは

ワンキャリアの就活生・求職者向けの複数サービスを1つのIDで利用できる共通会員IDのこと

「ワンキャリアID」プロジェクトでMVPを受賞した当時の心境や授賞式の様子を伺いました。

中川さん「率直な感想としては、”意外”でした。任せていただいたプロジェクトは非常に大きなものだと認識しており、自分なりにしっかり寄与できたと感じています。一方で、賞をいただけたことは光栄ではあるものの、もっとやり切りたかったという思いもあります」

中川さんは、プロジェクトマネージャーとしての立場から、「もっとやり切りたかった」理由を客観的に捉え、分析していました。

中川さん「プロジェクトは当初の予定通りには進まず、リリースの遅延やスコープの調整が何度も発生しました。リリース直前まで対応に追われたため、プロジェクトマネージャーとしては、より安定した進行と余裕を持った着地が理想だったと感じています。それでも意図した形でリリースを実現できた点については成功と言えると思っていますが、進め方の面では改善の余地が大きく、振り返ってみると反省点のほうが多かったですね」

中川さんはチーム唯一の正社員として、今回の大きなプロジェクトを支えました。

中川さん「僕以外に3名の業務委託メンバーと共に開発を進め、期間中にさらに2名が加わり、最終的には5名のチームでプロジェクトを進行しました。業務委託メンバーは僕よりもエンジニア歴が長い方が多く、『この場合はこういった懸念がありますよね』『こういうバグが起きるかもしれません』といった細かい指摘をもらい、技術面で大きく支えていただきました。そうしたメンバーの力を借りながら、トータルマネジメントができていたと思います

入社3年目にして、このような大規模プロジェクトをやり遂げた中川さん。その姿を陰で見守っていたのは、同じ技術開発部に所属するシニアエンジニアリングマネージャーの江副廉人さんでした。

そんな江副さんに中川さんのMVP受賞理由を尋ねると、長く見守ってきたからこそ出てきた熱い言葉が返ってきました。

江副さん「やはり『ワンキャリアID』という本当に大きなプロジェクトを最後までやり遂げ、リリースまでこぎつけた点が評価されたのだと思います。

明確に『この行動が受賞の決め手になった』と特定するのは難しいほど、多くのことを乗り越えていました。本人も話していた通り、今回のプロジェクトはワンキャリアの歴史の中でも最も難易度の高いプロジェクトの1つでした。だからこそ、そのプロジェクトを『やり切った』ことが、MVP受賞につながる実績になったのだと思います

MVP受賞のきっかけとなった今回のプロジェクトは、キャリアや実績のある江副さんの目にはどのように映っていたのでしょうか。

江副さん「順風満帆ではなく、紆余曲折のあったプロジェクトでした。中川さんも言っていましたが、リリースの延期やスコープ変更(プロジェクトの対象となる範囲)などさまざまな調整が必要でした。『スコープが変わる』と一言で言っても、『本当にこれをリリースするんですよね?』といった確認や関係各所との調整が発生します。そうした対応を含め、やることが多岐にわたる中でやり遂げたことは、本当に素晴らしいと思います。

また、このプロジェクトは難易度が高いだけでなく、ワンキャリアのミッションにとっても重要なものでした。ワンキャリアは新卒領域に強みを持っていますが、キャリアは新卒だけでなく中途も含めて続いていくものです。1つのIDで長期的にキャリアを構築できるようにすることで、ワンキャリアが掲げる『人の数だけ、キャリアをつくる』というミッションを実現できます。

たとえば、新卒時の就活データを初めての転職活動に活かしたり、2回目以降の転職にも役立てたりする。そうした仕組みを実現するために欠かせないのが『ワンキャリアID』なんです。

こういった背景からこのプロジェクトを中川さんがやり遂げたことは、ビジネスの観点からも、ワンキャリアの歴史にとっても非常に重要な意味を持つものでした」

それほどの大きなプロジェクトに中川さんがアサインされた理由とは何だったのでしょうか。

江副さん「やはり、これまで担当したプロダクトを着実にリリースし、成果を出してきたことが大きいですね。また、当時の中川さんのチームは技術的に非常に優れており、確実に成果を生み出してくれるという信頼感もありました。そうした背景から、『ワンキャリアID』の大きなプロジェクトを任せてみよう、という経緯になりました。

本人は反省点を挙げていましたが、このプロジェクトは会社の決算説明資料にもハイライトとして掲載されるほどの大きな取り組みでした。会社にとっての節目となるプロジェクトに携わり、期待以上の成果を出してやり遂げたと言えるのではないでしょうか」

中川さんを支えた江副さんとの1on1

そんな大きなプロジェクトを「やり切った」中川さんを、江副さんはどのようにサポートしていたのでしょうか。

江副さん実は、本当に雑談しかしてないんですよ(笑)。中川さんみたいなタイプには、“ああしろ、こうしろ”って細かく言うのは違うなっていう感覚が最初からあったんですよね。だから僕としては、いろんなスキルや知見をキャッチアップできる“素材”を提供する、そんな向き合い方が合ってるのかなと思っていました。

たとえば、1on1の中で僕が最近おもしろいと思ったポッドキャストとか技術書、ビジネス書なんかを『これ、こういう理由でよかったよ』って紹介して、興味があれば中川さんは自然とキャッチアップするだろうし、興味なければしないだろうなって。そのあたりは無理にコントロールしないで、幅広く出してみることを意識していました。中川さんは勝手にどんどん伸びていくから僕はその背中を少し後ろから支える、そんなスタンスでしたね。

もちろん、人によっては『ここまでやればOK』といった明確なゴールがあったほうが動きやすいタイプもいます。そこは良し悪しじゃなくて、向き不向きの話ですよね。

でも中川さんには『自分で考えたい』という意思がはっきりあったので、“素材”を提供する形のサポートが一番合っていたんだと思います。実際のところは、やっぱり雑談してただけなんですけどね(笑)」

中川さんも同様に、江副さんとの「1on1」での“雑談”が、自身の息抜きになっていたといいます。
そしてときにはテーマを持ち寄り、難易度の高いプロジェクトへの向き合い方についてじっくりディスカッションすることもあったそうです。

中川さん「やはり江副さんはインプット量が圧倒的で、引き出しも非常に多い方なので、ディスカッションを通じて新たな観点や情報ソースを知ることができ、自分にはなかった視点に気づかせてもらえるのがありがたかったですね」

江副さん「1on1で中川さんがテーマを持ってきてくれることもあって、それに対して『どう思いますか?』と聞かれることもありました。そこから『僕はこう思うかな』『でもその場合はこうかもしれない』といった形でやり取りすることが多くて。仕事に関する話題ではありますが、ある意味“雑談”のような感覚で話していたように思います」

ときに息抜きであり、ときに学びの場でもあった1on1。
そんな時間を通じて、江副さんは中川さんにどんな印象を抱いていたのでしょうか。

江副さん「当社のエンジニアは、基本的に知的好奇心の幅が広い人が多いです。一般論として、ソフトウェアエンジニアって、プロダクトを作るのが好きだったり、技術に触れているのが楽しいという理由でこの職に就いている人が多いんです。それが極まった結果、『技術以外のことはあまり考えたくない』『技術だけを突き詰めたい』という人が一定数いるのも事実だと思います。

一方で中川さんもやはり知的好奇心の幅が広く、技術だけでなくマネジメントや経営、ビジネスといった領域にも関心を持っています。現在カスタマーサクセスも担当していますし、興味の幅が本当に広いと感じています。もちろん、どの方向に成長していくかにもよりますが、ビジネスパーソンとしての戦闘力を高めるという意味では、当社にとてもマッチしていると思っていました」

インターン時代から活躍していた中川さんですが、入社後も歩みを止めることなく、着実にステップアップを続けています。江副さんは、ある出来事をきっかけにその「変化の兆し」を強く感じ取ったと言います。

江副さんが感じた中川さんのターニングポイント

江副さん「内定者時代から新卒入社直後にかけて長期のプロジェクトに携わっていたときが、ひとつのターニングポイントだったと思います。中川さんは、自分よりキャリアや技術力のある業務委託の方をマネジメントする立場にありました。そのような状況でコミュニケーションの取り方に苦労する場面もありましたが、試行錯誤を重ねるなかで、伝え方や向き合い方に“覇気”のようなものが芽生えていく様子がありました。

エンジニアという職種は、『技術的な納得感』を重視する人が多い印象があります。なので、指示を受けるときも『それが技術的に妥当かどうか』を大事にするというようなスタンスですね。そのなかで中川さんは、チームとして達成すべきリターンに向けて『何を実現すべきか』という観点で伝えることを意識するようになったと感じています。

技術だけにとどまらず、伝え方や関わり方を工夫し、チームの力を引き出すようなコミュニケーションができるようになっていて、頼もしさを感じましたね」

ワンキャリアを支える2人の経歴

ここまで中川さんのMVP受賞の軌跡や、お二人の関係性について詳しくお話を伺ってきましたが、改めて、MVP受賞に至るまでの中川さんの経歴、そしてその成長をそばで支え続けた先輩・江副さんの歩みをあわせて振り返っていきます。

中川さんの経歴

中川さん「ワンキャリアの長期インターンとして、2021年から約1年ほど働いていました。その頃からすでに、マネジメントに近いような業務も任せられていたんです。そして、2022年に新卒として入社しました。当時はBtoB領域で新たに立ち上がったサービスがあり、その開発チームを1つ担当していました。当時はまだ研修制度が今のようにしっかりと整備されていない状態だったので、ほぼ入社初日から業務に入っていましたね。

現在は技術開発部に所属していて、BtoB領域のサービスに関わる複数の開発チームをマネジメントしています。それに加えて、お客様にプロダクトを提供する際のオンボーディング、いわゆるカスタマーサクセス的な業務も担当しています」

このように、中川さんはインターン時代からすでにプレーヤーとしてだけでなく、チームを見る立場も経験していました。
技術開発部では新卒入社直後からマネジメントを担うケースはあまり多くないそうですが、自然とその役割を担っていたのは、中川さんならではの経験といえそうです。

江副さんの経歴

続いて、そんな中川さんの成長をそばで見守ってきた江副さんのキャリアについて伺いました。

江副さん「僕は2021年に中途で入社しました。当時、技術開発部のエンジニアって、僕とか現在ワンキャリアのCTOを務めている岩本俊亮さんを含めても5名しかいなかったんですよね。だから、本当にいろんなことをやる必要があった時期でした。プロダクトの開発はもちろん、マネジメント、採用、メンバーの成長支援・育成…幅広く関わっていました。

それから、2021年当時に長期インターンとして働いていた中川さんと、いわばメンターのような関係で一緒に仕事をしていました。事業部には複数のチームがありますし、それぞれがさまざまな業務に関わっているので、正式にマネージャーとメンバーという関係ではないですが、2021年からずっと一緒に戦ってきた感覚がありますね。

そして今のマネージャーというポジションに就いたきっかけは、新卒で入社した前職時代の上司でもあり、現CTO岩本さんの存在でした。実は、岩本さんとは10年来の関係で、彼のリファラルを通じてワンキャリアに入社したんです。

当時、岩本さんがエンジニアリングマネージャーからプロダクトを管掌する執行役員に昇格するタイミングで、僕に『早くポジションを上げてもらわないと困るからね』と、じかにプレッシャーをかけてきて(笑)。

僕個人としても、組織や事業がこれからさらに成長していくことを見据えたとき、自分がマネージャーを務める方が良いだろうと考え、就任しました。就任後も色々な試行錯誤を経ながら学び、今もマネージャーの役割を担っています」

まとめ

前編では、新卒入社3年目で「ワンキャリアID」の開発の大きなプロジェクトに携わりながら、マネジメントまで幅広く活躍する中川さんと、それを支える江副さんについてお届けしました。

後編ではお二人のワンキャリアでの挑戦やマネジメント力について、より深掘りしていきます。お楽しみに!