【副業特集#03】副業社員に成果を出してもらうマネジメントの方法とは?

株式会社シューマツワーカー
代表取締役CEO
松村 幸弥 氏
まつむら・ゆきや/1989年生まれ。2012年に横浜国立大学経営学部卒業。新卒でボルテージに入社。 ソーシャルゲームのプロデューサーとして勤務。2016年に株式会社社食コレクション(2018年3月に社名を株式会社シューマツワーカーに変更)を設立し、現職。

副業で採用はどう変わる?副業マーケット特集

政府が働き方改革の一環として副業を推進、大企業でも副業解禁が進むなど、副業マーケットが徐々に広がりを見せています。また、新型コロナウイルスの影響でリモートワークの体制が整い、個人が副業をはじめるハードルも下がっています。副業がより一般的なものとなりつつある中、今後企業と個人の関係性はどのように変化し、採用のあり方はどのように変わっていくのでしょうか?本特集では変化の只中にある副業マーケットを追います。

今回は株式会社シューマツワーカーの代表取締役CEO、松村氏にインタビューをおこなった。 副業したい人と企業をつなげるマッチングサービス「シューマツワーカー」を運営する同氏に、副業マーケットの流れと副業人材に活躍してもらうために受け入れ企業がすべきことについて聞いた。

世間から関心を得る副業

そもそも、副業普及のきっかけとは何だったのだろうか。

「僕が創業した2017年から、働き方改革の一環として副業を日本に浸透させていこうということはすでに出ていました。そこからじわじわと副業の注目度が高まってきていました」

その流れの中で副業は注目はされたものの、当時は浸透するところまではいたらなかったという。しかし2019年の後半から、行政からの地方・中小企業における副業社員活用に関する明確な施策・発信が増えたことで、再び世間からの関心が高まったようだ。

「2019年の後半あたりからスポーツ庁や自治体が副業人材を募集するというリリースが増えてきています。具体的な施策の例として、都内在住の人が地方の大企業で副業をするとその交通費を半分国が負担するといったものが検討されています。また、九州の財務省が企画した副業人材活用セミナーにも多くの人が参加しており、世間からの注目が伺えます」

「それ以前は副業は飲食店でのアルバイトやYouTuberなどでもよく、細かく定義されていませんでした。最近は人が足りてない企業が副業人材を活用していく方針で、国は働き方改革を進めようと考えています」

そして今、新型コロナウイルスの影響で副業したい人が増えているらしい。松村氏によると理由は大きく分けて二つあるという。

「1つはコロナ禍で漠然と将来に対して経済面での不安を持ち、本業とは別の場所での収入源を増やしたいという人が増えたこと。もう1つの理由は暇になったことです。緊急事態宣言による外出自粛の影響でなかなか家から出ず、またリモートワークの普及によって通勤時間がなくなり、業務効率化が進みました。その結果余暇時間が増え、これをきっかけに副業したい人が増えました」

副業社員活用のコツはコミュニケーションと業務の割り振り

松村氏によると副業社員のパフォーマンスは、社員間とのコミュニケーションが上手くいっているか否かによって大きく差が出るという。

「リモートで本業の合間に副業をする人たちは、受け入れ企業側からするといつどこで働いているのかが見えにくいため、マネジメントしにくいという問題があります。そのため副業社員をうまく活用している企業は、2週間に一回定例ミーティングを行って『2週間後のこのミーティングまでにこのお仕事をお願いします』という依頼やミーティングまでの2週間で行った仕事の進捗確認、フィードバックしている企業が多いです。また、正社員と同様に副業社員とも1on1を実施する企業もあります。社内のリソースを120%パフォームさせるという視点で取り組まれている企業はそこまでおこなっていますね」

企業側と副業社員側の双方が円滑に仕事をするために、企業側はコミュニケーションの質は正社員と副業社員とで分けない方がよさそうだ。しかし、業務内容はきっちり分けた方が良いという。

「緊急度・重要度ともに高い業務は正社員に任せた方が良いです。対して、重要度は高いが緊急度は高くない業務は、スキルの高い副業社員に向いていると思います。たとえば開発なら、メインプロダクトの制作は正社員、社内の管理システムなど重要度は高いものの緊急度が高くないため後回しになりがちな仕事は副業社員に任せるということです。正社員の人にお願いする業務、副業社員の人にお願いする業務を意識して渡すことは重要だと思います」

副業社員を上手く活用するには、コミュニケーションの質の高さと業務の割り振りに気を付ける必要があるようだ。さらに松村氏は副業社員を採用する際、条件などを細かくすり合わせることが重要だと続ける。

「たとえば、お願いしたい業務に対して月何時間くらい稼働できる人でないといけないのかを決めないでただ副業したい人を採用すると『企業側は月30時間程度稼働してほしかったのに対し、副業人材のほうは週3時間・月10時間程度の稼働を考えていた』などのギャップが生まれることがあります。また本業の会社では副業可能なのかや稼働する時間帯もすり合わせる事が必要です。企業側として、お願いしたい業務をこなせる人なのかどうか、どれくらいの期間働くつもりなのかは採用時にきちんと確認していく必要があります」

候補者との条件のすり合わせは見落としがちになってしまうことも多いのではないだろうか。同社はこれまで1200人以上の副業社員を企業とマッチングしてきた経験から、副業社員を採用する際に見るべき点を以下のようにまとめている。

副業社員を採用する際に見るべき点

1.経験・技術(スキル)
2.その他副業に要する能力(副業社員適正)
3.一か月(一週間)の稼働可能時間
4.想定する稼働曜日・時間帯
5.チャット、電話ができる曜日・時間帯
6.定例MTGのできる曜日・時間帯
7.希望報酬・希望契約形態
8.何にモチベーションを感じるか
9.直近半年の本業の忙しさ(把握できる範囲で)
10.直近半年のプライベートの忙しさ(把握できる範囲で)
11.過去の副業社員での業務経験(あれば辞めた理由)
12.本業が副業OKの会社かどうか

副業採用で組織の変化を楽しむ

最後に、副業社員に活躍してもらうために整えておくべき社内環境について聞いた。

「先ほど言ったコミュニケーションの質を正社員と同じレベルにして、垣根なく会社のビジョンを語るほかに、2つ進めるべきことがあります」

「1つはその人のモチベーションが何かをきちんと把握することです。お金が欲しいから副業しているのか、新しい技術やチャレンジがしたいから副業しているのか。副業している理由やモチベーションにそぐわない業務をお願いしているとパフォーマンスが落ちてしまうことがあります。ただ副業も仕事なので、その人が求める業務ばかりを与えられないとは思うのですが、モチベーションさえ把握していれば『今お願いしている業務は本人がやりたいことと違うけれども、ここを頑張ってくれたら次こういう仕事をお願いできるから』というコミュニケーションが取れます。なので、その人のモチベーションを把握するというのはとても重要です」

そして2つ目は、正社員・副業社員の垣根なく業務に対してフィードバックをすることだという。

「副業社員の方によく言われるのが、企業側からの評価が見えにくいということです。主にテキストコミュニケーション・テレワークで業務をやっている中で、自分が評価されているのかされていないのかが気になるというケースがあります。なのでここは評価してます、ここは改善してほしいですというフィードバックを正社員・副業社員の垣根なくおこなうことをおすすめします」

また、副業社員の活用がうまくいっている企業はITリテラシーが高く、IT人材と業務を行う体制が整っていると松村氏は話す。

「具体的にはタスク管理ツールがうまく使われていたり、社内コミュニケーションツールが明確にあったりします。そのような企業はテレワークで業務委託する人材と仕事した経験があって、定例ミーティングなどのナレッジがすでに自社にあることが多いです。そのような点でまだ非IT企業が副業人材を受け入れる導入の壁があります。そのギャップをシューマツワーカーが埋めていければと思っています」

「副業採用はまだまだ新しいものですし、どう取り組めばいいか悩んでいる企業も多いと思います。しかし、今後中長期的な組織作りにおいて副業社員は重要になってきます。だからこそ、今から取り組み始めて、はじめはうまくいかなかったとしても前向きに組織の変化を楽しんでトライ&エラーしていってほしいなと思います。

各社でナレッジを溜めてシェアすることで、社会全体で働き方を多様化させる取り組みをしていくことが日本の労働人口不足という課題を解決するために必要なことだと思うので、まずは根気強く副業採用に取り組んでほしいなと思います」