2022年10月21日、ディップ株式会社が運営するアルバイト・パート求人情報サービス「バイトル」は20周年を迎えた。2002年のサービス開始以来、「ユーザーファースト」を貫きさまざまな取り組みを行ってきたバイトル。今回の特集ではその軌跡を振り返り、これから新たに描く20年について話を聞いていく。
前回の記事でお伝えした通り、この20年間さまざまな取り組みを行い成長してきたバイトルだが、実際の求人数や時給などはどう推移してきたのだろうか。特集第2弾となる本記事では、HRogチャートを用いてリアルな求人動向を分析。バイトルのイマを明らかにする。
調査対象媒体:バイトル
比較媒体 :イーアイデム・タウンワーク・フロムエー・マイナビバイト(五十音順)
調査対象期間:2019年1月7日~2022年10月3日(毎月第一月曜日のデータを使用)
全雇用形態を含む。HRogチャートのデータを元に集計しており、実際にバイトルで掲載されている分類・件数とは異なる場合があります。
バイトルの求人数は4年弱で倍増。業界トップのタウンワークに迫る勢い
HRogチャートのデータを元に作成
まずはバイトルの求人数の推移を見てみよう。2022年10月のバイトルの求人数は483,268件。約4年前の2019年1月の件数(244,604件)と比較して増加率+198%(+238,664件)と、この4年間で求人数がほぼ倍増していることが分かった。
4年間の推移を見てみると、新型コロナウイルスの影響を大きく受けた2020年3月から6月にかけて一度求人数が大きく落ち込んだものの、2021年10月にはコロナ禍以前の水準にまで回復。求人数はその後も順調に右肩上がりを続けている。
次に、アルバイト系求人メディア大手のタウンワークと比較してみる。2019年1月時点で、タウンワークとバイトルの求人数の差は588,913件。求人数で見るとタウンワーク一強の状況が続いていた。しかし4年後の2022年10月には、その差は252,125件にまで縮まった。コロナ禍でもバイトルが順調にシェアを拡大している様子が伺える。
ディップ インセンティブ プロジェクトによる時給アップの効果は?
バイトルの運営会社であるディップでは2021年12月から、働き手の待遇向上のための取り組みとして「ディップ インセンティブ プロジェクト」を推進している。
営業担当者が求職者に代わり、給与アップなど従業員定着や採用力強化の施策を提案し「働く人の待遇向上」の実現を目指すプロジェクト。
ディップ インセンティブプロジェクトによる時給向上の効果はあったのだろうか?
HRogチャートのデータを元に作成
上のグラフは、アルバイト系求人メディアに掲載されている求人の時給平均額推移をあらわしたものだ。
ディップ インセンティブプロジェクトが始まる前の2019年1月時点では、バイトルに掲載されている求人の平均時給は1,185円。5媒体の平均時給である1,192円よりも7円低く、他と比較しても時給の高い求人が多いとは言えなかった。
しかしディップ インセンティブプロジェクトが実施された2022年10月現在、バイトルに掲載されている求人の平均時給は1,312円と4年前と比較して127円(+111%)アップ。
5媒体の平均時給である1,273円と比較しても39円増えており、アルバイト求人の中でも特に高時給帯の求人が増加している様子が伺える。
また媒体別に比較すると、2019年1月時点でバイトル求人の平均時給は5媒体中2番目に低い値だった。しかし2022年10月には、バイトルは5媒体のうち時給平均額が最も高いメディアとなっている。ここからもディップ インセンティブプロジェクトの効果で、掲載求人の時給がアップしていることが分かる。
シェア率の高い職種・ユーザー層は? データから紐解くバイトル
HRogチャートのデータを元に作成
上記はバイトルに掲載されている求人の件数を、職種別にまとめたグラフだ。2019年1月時点では「運輸/物流」職種と「飲食/フード」職種の求人が50,000件を超えていた。その後はコロナ禍でニーズの増えた「医療/福祉」職種の求人を順調に増やし、現在「医療/福祉」職種の求人数は「飲食/フード」系職種を超えて2番目のシェアを獲得している。
なお、2022年10月時点で、バイトル内の職種別求人件数ランキングは下記となっている。
- 1位:運輸/物流(98,344件)
- 2位:医療/福祉(89,276件)
- 3位:飲食/フード(80,277件)
- 4位:営業/事務(78,250件)
- 5位:販売/接客(40,237件)
また、2022年10月時点での5媒体での職種別シェア率も比較してみた。その結果、以下の職種でもシェア率が高いことが分かった。
- アミューズメント(5媒体全体の46.4%)
- 建設/土木/エネルギー(46.4%)
- 製造/工場/化学/食品(44.2%)
- ナイトワーク(76.9%)
最後に、バイトルを閲覧しているユーザー層を見てみよう。ディップ株式会社の調査によると、バイトル閲覧ユーザーの約5割が24歳以下の若年層だった。
テレビCMなどに人気のアイドルグループを起用するなど、積極的なプロモーションで認知を獲得するとともに、「ディップ インセンティブプロジェクト」やコロナ禍で休業せざるを得なくなった有期雇用労働者向けの支援といった「働く人」向けの支援の姿勢が若年層の支持を集めていると考えられる。
また性別ごとに見ると、バイトル閲覧ユーザーにおける女性の割合は61.8%。男性よりもやや多いものの、男女ともにバランスよく閲覧されているメディアであることが分かった。
まとめ
バイトルは2020年3月頃にコロナ禍のあおりを受けたものの立て直し、現在も求人数を伸ばし続けていることが分かった。また、ディップ インセンティブプロジェクトの効果もしっかりと現れているようだ。バイトルがこれからどんな成長を見せてくれるのか、HRog編集部としても引き続き追っていきたい。
(鈴木智華)