【頑張ろう人材業界#01】コロナ禍でも採用意欲が高い企業とは? 転職市場編

営業マン応援企画!頑張ろう人材業界特集

新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済の停滞によって急速に冷え込んだ企業の求人ニーズ。多くの人材系企業が、この急激なマーケットの変化を前に苦境に立たされています。そんな状況の中で「人材業界の一歩先を照らすメディア」として何かできることはないか、そんな思いで本特集を企画しました。本特集の情報が、少しでも人材系企業の業績回復のヒントになればと思います。

コロナショックの影響を受け、求人マーケットに大きな変化が起きています。正社員マーケットでは2020年5月第1週の求人掲載件数レポートによると、主要5媒体の掲載件数は79,953件。コロナ以前の1月と比較して、わずか3ヵ月で実に約30%もの求人がなくなったことになります。

このコロナショックで、企業の求人出稿状況はどのように変化しているのでしょうか? そして、このような状況下でも採用意欲の衰えていない企業の特徴とは何なのでしょうか? HRog運営会社のゴーリストが収集しているHRogリストのデータを元に、HRog編集部が調査しました。

記事を最後までお読みいただいた方には、本調査で使用した4月の求人掲載件数TOP100企業リストをプレゼントしております。ぜひご一読ください。

※2020年12月10日追記:4月の求人掲載件数TOP100企業リストプレゼント企画は現在終了しております。 ご了承ください。

求人媒体掲載件数TOP100社の動きは?

まずはコロナ禍でも採用意欲が高い企業を見ていく前に、コロナショック前に大量出稿していた企業がコロナの影響でどのように出稿状況を変化させたか見ていきます。

データを分析する前に、今回の調査方法を説明します。

調査方法①:2020年1月第一週時点での出稿件数TOP100社をピックアップ

HRogリストのデータを元に作成

コロナショックが起きる前である2020年1月第一週時点で、求人媒体に大量掲載していた企業TOP100社をピックアップします。

今回調査対象になるのは1月第一週時点で10件以上の求人を掲載していた100社です。具体的には以下の企業が1月の掲載件数上位を占めていました。

HRogリストのデータを元に作成

調査方法②:TOP100社についてコロナ後の出稿件数の変化を調査

ピックアップした100社に対して、コロナの影響が現れはじめた4月最終週の求人媒体利用状況を比較。各社の出稿件数の変化を調査しました。

コロナショック後、約9割の企業が出稿を減らす

HRogリストのデータを元に作成
1月掲載件数TOP100社の4月の掲載状況

集計対象日  :2020年4月27日
集計対象媒体 :doda、type、エン転職、マイナビ転職、リクナビNEXT(五十音順)
集計対象企業 :2020年1月6日時点での出稿件数上位100社
集計方法   :1月第一月曜日と4月最終月曜日時点の各企業の出稿状況を集計、差を比較
その他集計条件:人材紹介プランによる出稿求人を省いて集計、自社求人を省いて集計

コロナショック後の4月末時点で出稿件数を減らした企業は87社。約9割の企業が求人媒体への出稿を抑制していることが分かりました。TOP100社を抽出して見てみても、各社の採用意欲が弱まっている様子がうかがえます。

また1月の掲載件数TOP100社のうち、求人媒体への掲載の一切を取りやめた企業は9社となりました。コロナショック以前には大量出稿していた企業でも、コロナの影響で採用を止めざるを得ないところがあるようです。

一方、1月と比較して出稿件数を増やしている企業は10社。この状況下でさらに採用を強化している企業も一部ながらあることが分かりました。

それでは1月と4月で比較したとき、掲載件数TOP100社の求人掲載件数はどのように変化しているのでしょうか?

1社あたりの平均出稿件数は28%減少

HRogリストのデータを元に作成
1月→4月の掲載件数TOP100社の出稿状況の変化

集計対象日  :2020年1月6日、2020年4月27日
集計対象媒体 :doda、type、エン転職、マイナビ転職、リクナビNEXT(五十音順)
集計対象企業 :各集計時点での出稿件数上位100社(ユニーク社数144社)
その他集計条件:人材紹介プランによる出稿求人を省いて集計、自社求人を省いて集計

次に、コロナショックの前後にあたる1月と4月で出稿件数TOP100社を比較。企業の入れ替わりと1社あたりの平均掲載件数を調査しました。

コロナショックの前と後でのTOP100社の移り変わりを見ると、44社が入れ替わっていることが分かりました。コロナの影響を受け、求人媒体を利用している企業の顔ぶれは大きく変化しているようです。

また1月の1社あたり平均出稿件数が21.1件だったのに対し、4月は15.2件と5.9件のマイナス。求人企業各社が求人媒体にかける予算が縮小している様子が浮き彫りになっています。

では具体的に、どの職種の求人がコロナショックのあおりを受けているのでしょうか?

対面接触を必要とする職種があおりを受ける

HRogリストのデータを元に作成
4月の職種別求人数

集計対象日  :2020年4月27日
集計対象媒体 :doda、type、エン転職、マイナビ転職、リクナビNEXT(五十音順)
集計対象   :全件数
その他集計条件:人材紹介プランによる出稿求人を省いて集計、自社求人を省いて集計
媒体記載の職種カテゴリーではなく、HRogリスト独自のキーワードマッピングに基づいた職種カテゴリーで求人案件を分類・集計

職種別に見てみると、ほぼすべての職種において求人出稿数が1月比で20%以上減少していました。コロナの求人マーケットへのインパクトの大きさがうかがえます。

特に「ホテル・旅館」(-63.8%)、「アパレル系」(-51.2%)、「飲食系」(-50.5%)など、対面接触が必要な職種は1月と比較して求人件数が50%割れ。緊急事態宣言による外出自粛の影響を大きく反映し出稿が大きく減少しています。

一方で求人件数の減少幅が少なかった職種は「建設系」(-24.5%)、「物流系」(-28.0%)、「エンジニア」(-28.1%)でした。コロナ前から人手不足が深刻だった「建設系」職種はコロナ下の状況の中でも出稿を続ける企業が多いようです。また外出自粛に伴う巣ごもり需要の受け先である「物流系」、リモートワークによる業務が比較的おこないやすい「エンジニア」職種は比較的求人件数への影響は少なくなっています。

コロナ禍でも採用意欲が高い企業はどこ?

それではコロナ禍でも採用を続けている企業はどのような企業なのでしょうか? ここでは4月最終週時点で出稿件数が多かった企業を調査しました。

4月出稿件数ランキング

HRogリストのデータを元に作成
4月出稿件数ランキング

集計対象日  :2020年4月27日
集計対象媒体 :doda、type、エン転職、マイナビ転職、リクナビNEXT(五十音順)
集計対象   :全件数
その他集計条件:人材紹介プランによる出稿求人を省いて集計、自社求人を省いて集計

HRog編集長ピックアップ企業 住友不動産株式会社

HRog編集長菊池

1月も4月も求人数第1位は新宿に本社をおく不動産業界大手の住友不動産株式会社でした。全国で営業職を中心に積極採用されています。

2020年5月14日発表の2020年3月期の通期決算(連結)では売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のすべてにおいて7期連続で過去最高を更新と素晴らしい業績を出されています。なかでも主力の賃貸事業が最高益を更新し、牽引されているようです。

主な募集職種:営業職
ほか募集職種:アフターサポート、施工管理、不動産開発、品質管理、構造設計、マーケット調査、ビル管理、CADオペレーター、用地仕入れ、マンションのフロントコンシェルジュ、人事、経理、事務

「一生モノの仕事をしよう。」をメインコピーに採用サイトにも注力されており、実際に働く社員のインタビューを通じて仕事理解を深めるコンテンツが豊富です。
キャリア採用情報:http://www.sumitomo-rd.co.jp/jobs/career/

会社情報
資本金  :122,805,350,767円 (2019年3月31日現在)
設立   :1949年12月1日
従業員数 :13,238名(2019年3月31日現在・連結)
売上高  :1,013,229百万円(2019年3月31日現在・連結)
代表者  :代表取締役社長 仁島 浩順
本社所在地:東京都新宿区西新宿二丁目4番1号(新宿NSビル)
事業内容 :ビルの開発・賃貸
マンション・戸建住宅の開発・分譲
宅地の造成・分譲
海外不動産の開発・分譲・賃貸
建築土木工事の請負・設計・監理
不動産の売買・仲介・鑑定 ほか
URL    :http://www.sumitomo-rd.co.jp/
(ホームページより抜粋)

1月→4月の出稿増加件数ランキング

また1月と比較して、4月に求人出稿を増やしている企業も合わせて調査しました。

HRogリストのデータを元に作成
1月→4月の出稿増加件数ランキング

集計対象日  :2020年4月27日
集計対象媒体 :doda、type、エン転職、マイナビ転職、リクナビNEXT(五十音順)
集計対象   :全件数
その他集計条件:人材紹介プランによる出稿求人を省いて集計、自社求人を省いて集計

HRog編集長ピックアップ企業 株式会社仙台銘板

HRog編集長菊池

4月の求人数は16件でトータル26位に急浮上した仙台に本社を構える株式会社仙台銘板。コーンなどの『保安用品』や工事に使う『総合標識』など保安用品業界トップシェアを持つ昭和44年創業の安定企業です。

令和元年に創立50周年を迎え、今年は4月に京都と沖縄に新規営業所を出店され、北海道から九州まで全国各地に広がる営業所を更に強化しました。また直近ではオンラインでの販売にも注力されている模様です。売上は直近10年で3倍と右肩あがりに成長し、2020年3月期も過去最高を更新中です。

主な募集職種:倉庫管理業務職(入出庫作業、メンテナンス、商品仕入、配送手続き等)
ほか募集職種:法人営業、事務、ECサイト運営、IT系総合職

採用サイトは新卒向けに開設しており、2021年卒では営業職を中心に36~40名の採用予定とのことです。

採用ホームページ:http://www.sendaimeiban.com/

会社情報
資本金  :3億5千万円
設立   :昭和44年6月13日
従業員数 :759名(2019年6月3日現在)
売上高  :312億円(2019年3月期)
代表者  :代表取締役 渥美 幸二(アツミ コウジ)
本社所在地:宮城県仙台市宮城野区中野五丁目8番地の5
事業内容 :安全保安用品の販売及びレンタル、建築・土木資材・各種景観材販売
URL    :https://www.s-meiban.com/
(ホームページより抜粋)

まとめ

今回は「コロナ禍でも採用意欲が高い企業とは?」をテーマに、コロナショックを境に求人媒体利用企業の出稿状況がどのように変化したかをご紹介しました。

コロナ禍でも積極的に採用をおこなっている企業は、特定の業界・特定の職種に偏っているというよりも、この状況下でも自社の成長を見据えて戦略を練っていたり、今の未曽有の状況をビジネスチャンスと捉えたりしたうえで採用に投資できる企業と言えるでしょう。

そしてこのタイミングで採用に踏み切った企業には、クライアントの事業にどうやったら貢献できるかを第一に考え、採用のパートナーとして人事部門を支えてきた人材系企業の営業担当がいたはずです。

求人マーケットが縮小し新規開拓の難易度が高まっている今だからこそ、クライアントと二人三脚でどうすれば現状を打破することができるか考えることからはじめてみてはいかがでしょうか?

次回は「コロナ禍でも採用意欲が高い企業とは?アルバイト市場編」をお届けします。