【人材業界入門#04】テレアポを学ぶ~これからの求人広告営業に求められるもの【イベントレポート・2020年2月17日開催】

新人営業はこれを見よ!新卒のための人材業界入門特集

4月になり、今年も多くの新卒社員が新たに人材業界で働くことになります。業界知識や採用ノウハウなどキャッチアップすることが多く、不安に感じている方も多いのではないでしょうか?本特集ではこの春人材系企業に勤めることになった新卒の方向けに、おさえるべき知識やノウハウをご紹介します。

求人広告の新規営業を行う新人に立ちはだかる一番最初の壁である「テレアポ」。HRog編集部は、求人広告代理店大手の株式会社ピーアールデイリー本社にてテレアポに関する勉強会を開催いたしました。今回はその様子をレポートします。

求人ニーズの高い企業にアタックできる人材業界特化のリストサービス「HRogリスト」

登壇者

菊池 健生
株式会社ゴーリスト
取締役/HRog編集長

きくち・たけお/2009年大阪府立大学工学部卒業、株式会社キャリアデザインセンターへ入社。転職メディア事業にて法人営業、営業企画、プロダクトマネジャー、編集長を経験し、新卒メディア事業のマーケティングを経て、退職。2017年、ゴーリストへジョイン。人材業界の一歩先を照らすメディア「HRog」の編集長を務める。

求人広告営業で一番大切なのは「信頼の貯金」

菊池:まずはテレアポのコツについてお話する前に、採用マーケットにおける求人広告の立ち位置の変化についてお伝えしたいと思います。実は今、求人広告で採用を成功させることはとても難しくなっています。

ではなぜ求人広告による採用成功が難しくなってきているのでしょうか?

求人広告での採用が難しい理由①:採用関連の情報の多様化

菊池:まずみなさんに認識してもらいたいことは、今は求職者が会社を判断するための情報が求人広告以外にも増えているということです。10年前を振り返ると、求職者は求人広告を見て仕事・会社を探していました。企業は求人広告だけしっかり作りこんでいれば、それ以外の情報発信がおろそかでも採用できていました。

しかしSNSや口コミサイトの発展により、今まではなかなか外から見えなかった働き方に関する情報がどんどん明るみになってきました。「ブラック企業」「働き方改革」という言葉が現れたのもこの最近のことです。そしてそのような変化に伴い、「転職で失敗したくない」「ホワイト企業に勤めたい」という思いを持つ求職者が増えてきました。

今、転職を検討するときに、求人広告の情報しか見ないという人はほとんどいません。口コミサイトでその企業の評判を調べ、採用HPや社長のnoteやブログ・社員のSNSなどもよくチェックされるようになってきています。採用オウンドメディアやSNSなどさまざまなプラットフォームによる企業の情報発信が一般的になったことで、転職の意思決定における求人広告の影響力が相対的に小さくなってきているのです。

求職者がどんどん情報を得て賢くなり、求人広告以外の情報も含めてトータルで会社選びをするようになってきているのが、求人広告だけでの採用が難しくなってきている理由の一つ目です。

求人広告での採用が難しい理由②:受注する前にクライアント企業を深く知ることができない

菊池:現在採用コンサルタントとして活躍しているさつきさんという方が、「求人広告営業出身の私が求人広告に掲載する前に企業人事に聞けるもんなら聞きたいこと100選」というnoteを書いていました。

内容を簡単にまとめると、求人広告を作るときにクライアント企業のことを深く知るためには本来は100項目くらいヒアリングしないといけません。しかし実際には1・2回の商談や1回の取材では時間が少なすぎて、それらすべてをヒアリングできないというものです。

クライアント企業が今求人している仕事のよさは、本来クライアントと何度も商談を重ねたり現場の方の声を含めて深く取材をしていく中ではじめて分かってきます。にもかかわらず求人広告では、時間的な制約のためその企業や求人の魅力を十分に理解しきれないまま一回目の広告制作・掲載をおこなわなければなりません。

そのような構造のため、そもそも一回の広告掲載で確実に採用を成功させるのは難しくなっています。

そのような状況を踏まえたとき、求人広告営業でもっとも大切になってくるのが「採用のプロとしてクライアントに信頼してもらうこと」です。求人広告だけではなくSNSやオウンドメディアの運営方法まで提案したときに、きちんと話を聞いてもらえる。一回で効果を出すのが難しいからこそ、長期的な観点でのアドバイスを聞いてもらえる。このようにクライアントからの信頼を貯金して、長く付き合える関係性を作ることが重要になってきます。

なのでテレアポするときも、クライアントと長期的にお付き合いさせてもらうための入り口であるということを意識してほしいと思います。商品の押し売りをするのはやめて、電話口のクライアントの採用成功にどうやったら貢献できるか、自分が持っている知識をどのようにしてギブするかということを考えてみてください。

テレアポの方程式は「時間あたり件数」×「時間」×「トーク力」

菊池:「その人がどれだけテレアポでアポがとれるか」、その人のテレアポ力を分解すると大きく3つの要素に分けられます。

テレアポ力の要素①:1時間あたりの電話数

菊池:実は、テレアポ営業で最も大事になってくるのが数です。当たり前の話ですが、どんなにトークスクリプトを磨いても、電話数をこなさなければアポ数はなかなか増えません。僕が現役の営業マンのときには、1時間に25件電話をかけるというところに目標を置いてやり切っていました。

1時間あたりの電話件数を伸ばすのに必要なのは集中力とメンタル、すなわちテレアポをやり切る力です。テレアポで断られて心が折れるという人が多いですが、高い目標を掲げてやりきるということをやってほしいと思います。

テレアポ力の要素②:テレアポ時間

菊池:テレアポ時間を確保することも電話数、ひいてはアポ数を増やすためには重要です。そしてテレアポ時間を確保できるかどうかは、自分がもっている顧客数や業務効率によるところが多いです。クライアントをたくさん持っているベテランほど訪問準備に時間を取られるため、テレアポ時間に関しては新人のほうが確保しやすいと言えます。ベテランがテレアポ時間を確保するためには、外部のツールを導入して業務効率をあげるなどの工夫が必要になってきます。

テレアポ力の要素③:トーク力

一番最後がトーク力、すなわちトークスクリプトや声の使い方を磨くことです。そしてトーク力は自分の声を録音したり、ロープレをしたりすることで振り返ることで改善できます。しかし一方で、一番伸ばすのが難しいのもトーク力です。

商談は先輩に同行してもらうことで使える技を学ぶ機会を得られるので、どんどんうまくなっていきます。しかしテレアポは他の人の技を学ぶ機会が少ないため、最初からコツをつかんでいる人はうまくいくけれど下手な人は下手なまま、ということが起こりやすいです。

なので、改善するためには録音やロープレがとても大切になってきます。まずは録音してみて、自分がどんな声で何を話しているのか聞いてみることをおすすめします。「営業電話っぽい」「おどおどしていて信頼できない」など、いろいろ発見があるはずです。

菊池:あくまでも電話数を増やすということが大切になってきますが、それを前提としてさらに録音・ロープレをおこないトーク力を改善することで、テレアポがうまくなっていきます。

トーク力で一番大切なのは「声のトーン」

菊池:それでは次にテレアポ力の要素の3つめ、トーク力とは具体的にどんな能力か分析していきましょう。トーク力も大きく分けて3つの要素に分解できます。

トーク力の要素①:受付突破力

菊池:テレアポをして一番最初に採用担当者の人が電話を取ってくれることはほとんどないので、採用担当者の人へ取り次いでもらう力が重要になります。そしてこの受付突破力を上げるためにはHPやブログなどで採用担当者の名前を調べておくなど、事前情報を持っておくことが大切になります。また声のトーンも非常に重要です。テレアポしている方の中にはいかにも営業電話っぽい、固くてちょっと高いテンションで話す人がいますが、そのような話し方だと受付でブロックされてしまうことが多いです。反対にうまい人のテレアポは声のトーンが落ち着いています。

トーク力の要素②:相手に興味を持たせる力

菊池:何かしらお話をして商談するメリットを感じてもらったからこそ、相手はアポをくれるはずです。メリットを知ってもらうために必要な時間を仮に1分とすると、担当者と1分以上話せないとアポはとれません。なので電話を切られないように、相手が興味を持ちそうな会話のネタをトークスクリプトとし用意することが大切になります。また、相手に興味を持ってもらい、信頼してもらう点において、ここでも声のトーンが重要になってきます。

トーク力の要素③:クロージング力

菊池:商談でのクロージングテクニックは持っている方が多いと思いますが、テレアポにもクロージングが必要です。そしてクロージング力は応酬話法、つまり「このように言われたらこのように返す」という切り返しトークをきちんと作ることによって身につきます。

断られるパターンを挙げていってみるとと「もう別の会社とお付き合いがある」「うまくいっている」「予算がない」「求人広告はやらない」「忙しい」など、実はそこまでバリエーション多くないということに気づくかと思います。これに対してすべて対抗トークを作っていく、あるいはそれを言わせないトークに持っていくことで改善していきます。

菊池:そして今回お伝えしたいことは、テレアポのトーク力を上げるためには声のトーンが非常に大切であるということです。

菊池:「メラビアンの法則」は、コミュニケーション、感情や態度で異なるメッセージが発せられたときに、人の行動が他人にどのように受け止められるという心理学の実験が元になっています。言ってることとやってることが違うときに、その人の何を見て情報を判断するのかというものです。

その結果、人は他者を判断するときに、話の内容などの言語情報を7%、口調や話す速さなどの聴覚情報を38%、見た目の視覚情報を55%考慮して判断するということが分かりました。つまり、まず人は見た目でほとんど判断されるということです。反対に話している内容は7%しかないんです。

そしてテレアポの場合は、視覚情報がありません。なので聴覚情報を84%、言語情報を16%考慮して判断されます。つまりスクリプト、どんな話の内容をしているかよりも、約5倍声のトーンが大事になるということです。だからこそ録音をしたり、ロープレして先輩からフィードバックをもらったりしながら、自分の声のトーンを改善していくことが大切になっていきます。

菊池:今回は「テレアポを学ぶ」をテーマにお話ししました。冒頭でも話した通り、求人広告営業ではクライアントに信頼してもらい、長く自分とお付き合いしてもらうことが大切になっていきます。そしてテレアポは長く付き合うための一番最初の入り口です。だからこそ商品説明や無理なアポ取りをするのではなく、クライアントの採用成功を第一に考えたテレアポをしてもらえればと思います。

求人ニーズの高い企業にアタックできる人材業界特化のリストサービス「HRogリスト」はコチラ